面白がって ご機嫌に生きる

快適なモノや場所を選び、いつも機嫌よく過ごしていたら、運と勘が強くなりました。どこまで楽しんで暮らせるか、日々実践中です。

風の時代の働き方―やりたいことをすぐに実行する

公務員という安定した身分を捨て、漫画家に専念。

初めて描いた漫画は、講談社漫画賞を受賞。ドラマ化やアニメ放映もされ、『ハコヅメ仕事論』は日経新聞で大きく広告が出され――順風満帆のところ、「自分のピークは後10年。『ハコヅメ』はいつでも描ける。それより「やりたい仕事」を選択しよう」とまた、今の仕事をあっさり中断。3年前から描きたかった作品に着手するという。

一昔前なら「初作品でもあるし、今の連載を終わらせてから、次の作品を手掛けてほしい」「読者のことを考えてほしい」と交渉されるだろう。もしかして裏でそんな会話が交わされたかもしれない。が、やりたいことは遠慮せずにやる、自分の持ち時間、体力が続く時間を見極めて、自分軸で仕事を選んでいくというのは、実に泰三子さんらしく、また風の時代らしい行動だとも思った。

以前、編集者が「泰三子さんは警察漫画だけでなく、他にもいろいろなアイディアがある人なんです」と絶賛していたが、もうその時点で歴史漫画連載について、すり合わせはしていたのだろう。

泰三子さんが「編集部はシビア。基本、お金で動く人々」と語っていた。それに対し、ケンコバさんが「それはビジネスですから当然ですよ」と返していた。話の流れから察するに編集部は「好調の『ハコヅメ』を中断しても、新連載を開始したほうが採算が合う」と判断したのだろう。

 

泰三子さんは、いつも世間が是とする生き方(安定した職にしがみつく、ヒット作を延々と続ける等)よりも、自分のしたいことを優先に道を選んでいる。風の時代らしい、のびのびした選択だ。多分、読者を置き去りにすることもないだろう。仕事はかなりきっちりと責任をもって果たす人だから。

 

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「連載途中で他の話に着手」で思い出したのが、ある少女小説家だ。豊富な語彙を巧みに駆使し、文章も軽妙で読みやすく、物語も面白い。かつては好んで読んでいた作者だが、ただ「他に興味があるネタがあるとそちらに飛びついてしまう」「一度集中力が途絶えると、元の話を書こうとしない」という欠点があった。

早逝の才が惜しまれたが、おそらく長命であっても続編を執筆することはなかっただろう。何せファンが「再開を待っています」とファンレターを送ると「10年以上書いていないのに、まだ催促してくる人がいるので困る」と漏らしていたくらいなのだから。その逸話を聞いて、私は彼女の作品を読むのをやめた。あまりに身勝手すぎるからだ。本は読んでくれる人があってこそ、売れるのだ。むしろ素人のネット小説家のほうが責任感も向上心も思いやりも勝っているように感じた。

やりたいことを遠慮せずにやる姿勢は素敵だが、ビジネスとして行う以上は「読者」によって支えられていることを忘れないでほしいと思う。

 

泰三子さんは、そういうタイプではないと期待している。「自分も周囲も納得する」作品を生み出してほしいと今は切に願う。

 

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