昨日の記事に温かいご意見をいただき、ありがとうございます。
メールを送ってきた彼女も、個人的には誘う気はないし、私が不参加なのも見越していると思うのですよ。私が辞めてからほぼ音信不通で、宴会メールを事務的に送ってくる程度の関係ですから。
おそらく昔の上司が(やたら飲み会のメンバーを増やしたがる人だったので)「せっかくだから〇〇さんとか、××さんとかも誘ってみたら」と提案したために、指示に従っているだけだと推察します。宮仕えは、そういうものです。
最初は「幹事の参加数把握のために、きちんと回答したほうが良いか」と考えましたが――そうした常識的対応を取り続けることで、昔の関係性が続いてしまう。ここは逆転の発想で、敢てスルーすることで「強い拒絶」を表現しよう、と結論付けました。それで「非常識な奴だ。今後は誘わないでおこう」と思ってくれたなら、願ったり叶ったりですし。
上手に断ること、静かに縁を切ること。なかなかに難しいものです。
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先日、名取芳彦さんの本を読んでいたら「上司に飲み会などに誘われたら『ちょっと用事がある』という断り方はよくない。部下はきちんと理由を説明する必要がある」といった趣旨のことが書かれていて、ちょっとびっくりした。
逆に言えば「正当な理由なしに、相手の誘いを断ってはならない」「勤務時間外の時間も相手に掌握させ、コントロールさせることを潔しとすべき」ということにならないか。
『SPY×FAMILY』より
アーニャの「いま ひまをたのしむので いそがしい です」という断り方は秀逸。本当は「勤務時間外」であれば、自分の好きに使ってよいはずなのだ。だが「仕事や家庭の事情や通院などの拘束案件がない場合は、誘いを断ってはいけない」「暇や自由を楽しんではいけない」という奇妙な不文律があるのが日本文化なのだ。
他者の時間の使い方について、容喙する権利は誰にもないはずなのに。
正規職だった頃、60歳過ぎの管理職(孫もち)から付きまといを受けたことがある。携帯にも職場のメールにも「今日は空いていますか」と何度も連絡が入り、最初は「用事があります」と丁寧に断っていた(嫌がっているのを匂わせた)が、まったく通じなかった。ある日の夜、誘いメールが来たので「もう家の近くまで来ていますので」と断ったところ「あなたは〇〇駅が最寄りですね。これから駅まで行きますから、お店を探してください」と更に追い打ちをかけてきたので、本当にぞっとした。
アーニャのように「自由時間を満喫するのが楽しいので、あなたのために割く時間はありません」と言い放てればよいのだが、それはなかなか難しい。
どうやっても相手は変わらないのだから、不快なものからは逃げ、関わらないのが一番なのだ。
水木しげる氏「50を過ぎたら愉快に怠ける癖をつけなきゃいかん」
小池一夫氏「何を知るかより、何を知らないでおくかが重要」
来るもの拒まず付き合っていたら、自分の時間がなくなってしまう。誰と付き合うかより、誰と付き合わないかを考え、愉快に怠ける癖をつけていこう。