芸術の秋。
上野で開催されている国宝「東京国立博物館のすべて」を観たいと思ったのですが、現時点で予約できるチケットはすべて完売、とのこと。
なんですと?
史上初、所蔵する国宝89点をすべて公開する展覧会ですから、人も集まりますね。残念な反面、芸術を愛でる人が多いこと、それが許容される世の中であることに安堵しました。
生産性を高めることこそ人の本懐だ、人の役に立つこと以外は無駄だ――という思想は苦手です。食って寝て働く(遊びなし)の反復は、人を狂気に駆り立てるとさえ思います。殆ど、軍隊みたいなものですから。
トーハクを機嫌良く諦め、別の国宝展を観覧することにしました。
大蒔絵展ー漆と金の千年物語
三井記念美術館で開催中の大蒔絵展ー漆と金の千年物語へ。
さすが三井系。エレベーターまで意匠をこらしています。重厚で豪華。三菱一号館美術館といい、ここといい、財閥系の美術館は重厚・豪奢・洗練された雰囲気を醸し出しています。
国宝:源氏物語絵巻 柏木一(絵)(徳川美術館) 展示期間10/25-10/30
今回は、これを見たかったのです(源氏物語が好き)。一番右端が女三宮だとキャプションにありましたから、僧侶が父の朱雀院、その下が源氏でしょうか。柏木との不義に苦しみ、父に出家を望む場面ですね。三人の悲嘆が伝わってきます…。
美術館内は撮影禁止なので、パンフより。
金や漆にほどこされた、螺鈿がとにかく美しい。角度によってやわらかく色が変わる、玉虫色の螺鈿。細工がきらきら反射して、本当に素晴らしかったです。
👆美術館にいる間中、こんな感じ。美に酔いました。
上記は、現代の人間国宝の作品。「秋奏」は白いりすが螺鈿で表現されており、ほのぼのした可愛らしさがあって、女性客の人気を集めていましたっけ。
観覧後、ショップに寄ったら、現代作家による螺鈿などの作品が並べられており、価格帯が十万円台から数百万円台。誰が買うのかな、金持ちだな~という感覚で眺めていたところ、アラサーくらいの女性たちがやってきて「ねえ、これ全部で家が買える!」「なんか脳がバグった」と言いだしたので、ちょっと笑ってしまいました。
いや、その発想はなかったわ。しかも計算早いなー。
福徳神社(芽吹稲荷)
大蒔絵展を観覧した後、すぐ近くの福徳神社に参拝しました。
とても綺麗な神社です。
オフィス街だからでしょうか、「ランチタイム オハライ」のポスターが。
ご祈祷料は20分5000円。休みの日にわざわざ職場近くに来たいと思わないだろうし、ランチタイムの活用でもいいのですが、でも昼休み中にご祈祷を受けるほど切羽詰まっているなら、むしろ別のところに相談したほうがいいかも…と思ってしまいました。
私なら、ランチタイムに御祓いは受けないかな。ゆったりとした気持ちで、神様と向き合いたいし。
おまけ
うちの近所で、サンマが2割引になっていたので買いました。螺鈿のようにキラキラ光沢を放っていたのに魅せられて。
直近まで眺めていたものに、思考は影響を受けるようです。